SASデバイスのDLPAR(Dynamic LPAR)手順
DLPAR(Dynamic LPAR)手順について
IBMのPowerマシンはPowerVMで仮想化することによって、物理的制約が少なくなっています。
特徴の一つとして、SASデバイス(光学ドライブ、DAT装置)などの外部接続デバイスを動的にLPAR間を移動させることが可能になっており、それをDynamic LPAR(DLPAR)と呼んでいます。
このページではSASデバイスをLPAR間移動する手順をお伝えします。
何のデバイスを、どのLPARからどのLPARに移動するのかは以下の通りです。
SASデバイス移動元のLPAR → L03_NIM_1
SASデバイス移動先のLPAR → L04_HH_DB_1
SASデバイスのロケーションコード → U78C5.001.DQD00J2-P2-C1
L03_NIM_1のAIXで認識しているデバイス名 → sissas0
L04_HH_DB_1のAIXで認識するデバイス名 → sissas0
作業はこのような流れで実施します。
- L03_NIM_1のOS上でデバイス「sissas0」を削除
- HMCでSASデバイスをL03_NIM_1からL04_HH_DB_1へ移動
- L04_HH_DB_1のOS上でデバイスを認識させる
それでは作業に移ります。
移動元LPARでのデバイス削除
移動元LPARでSASデバイスがどのように認識されているかをlsdevコマンドで確認します。
[root@p7nim1:/] lsdev | grep sissas sissas0 Available 00-00 PCI Express x8 Ext Dual-x4 3Gb SAS Adapter sissas1 Defined 01-00 PCI Express x8 Ext Dual-x4 3Gb SAS Adapter [root@p7nim1:/]
2つのデバイスがリストされましたが、移動させたいSASデバイスがどちらなのかを知る必要があります。H/Wロケーションが「U78C5.001.DQD00J2-P2-C1」であるのがどちらなのかをlscfgコマンドで確認します。
[root@p7nim1:/] lscfg -pvl sissas0 | head -3 sissas0 U78C5.001.DQD00J2-P2-C1-T1 PCI Express x8 Ext Dual-x4 3Gb SAS Adapter Hardware Location Code......U78C5.001.DQD00J2-P2-C1-T1
H/Wロケーションが「U78C5.001.DQD00J2-P2-C1-T1」であるデバイスはsissas0であることがわかりました。
sissas0のステータスは「Available」となっており使用可能な状態となっているので、切り離す前にrmdevコマンドでデバイスを削除します。-Rオプションでsissas0の小デバイスにも適用します。
[root@p7nim1:/] rmdev -l sissas0 -R rmt0 Defined sfwcomm0 Defined sas0 Defined cd0 Defined sata0 Defined sissas0 Defined [root@p7nim1:/]
lsdevコマンドでステータスを確認します。
[root@p7nim1:/] lsdev | grep sissas sissas0 Defined 00-00 PCI Express x8 Ext Dual-x4 3Gb SAS Adapter sissas1 Defined 01-00 PCI Express x8 Ext Dual-x4 3Gb SAS Adapter [root@p7nim1:/]
sissas0のステータスが「Defined」になりOS上で使用不可状態となりましたので、SASデバイスを安全に切り離すことができる状態となりました。
SASデバイスの移動
作業はHMCから行いますので、ブラウザでHMCを起動しhscrootでログインします。
LPAR一覧を表示させ、
- SASデバイスが接続されているLPARのチェックボックスにチェックを入れ、
- LPAR名の右に表示された矢印ボタンをクリックし、
- 「動的ロジカル・パーティショニング」→「物理アダプター」→「移動または除去」を選択します。
取り外し可能なI/Oアダプターを操作する画面が表示されますので、
- 移動するSASデバイス「U78C5.001.DQD00J2-P2-C1」にチェックを入れ、
- 移動先パーティションで「L04_HH_DB_1」を選択し、
- 「了解」をクリックします。
DLPARが開始されます。下図の表示が消えればデバイス移動完了です。
移動先LPARでのデバイス認識
移動先LPAR「L04_HH_DB_1」の作業に入ります。
rootユーザーでログインして下さい。
SASデバイスの状態を確認します。
[root@server01:/] lsdev | grep sissas sissas0 定義済み 00-00 PCI Express x8 拡張デュアル x4 3Gb SAS アダプター [root@server01:/]
状態が「定義済み」となっており、使用可能なデバイスとしては認識されていません。
(SASデバイスを初めて認識させる場合は、lsdevの結果にはリストされません。)
cfgmgrでデバイスをスキャンします。
[root@server01:/] cfgmgr [root@server01:/]
再度、SASデバイスの状態を確認します。
[root@server01:/] lsdev | grep sissas sissas0 使用可能 00-00 PCI Express x8 拡張デュアル x4 3Gb SAS アダプター [root@server01:/]
ステータスが「使用可能」となり、デバイスを使用できる状態になりました。
以上で、DLPARは完了です。